■ラオス日報2005 バンコク入り編 -050716-

 タイ国際航空にて21:25ドン・ムアン空港着陸。到着ロビーの客引きの群を抜けてバスターミナルへの自動ドアをくぐると、そこは密度の濃いジワッとした熱気のるつぼ。これである。これがアジアである。身体の方は熱気でだるさを覚えるが、頭の方ではだんだんテンションが上がってくる。

 早速エアポートバス乗り場へ向かう。大抵の人はタクシーを使うのでこちらは空いているし、100B(バーツ:1バーツ=約2.5円)でノンストップでカオサンまで連れていってくれる優れものである。

 バスが発車すると、見慣れたバンコク郊外の景色が窓外を過ぎていく。相方は、ちゃんとカオサンで降りれるか否かに不安を抱きつつも、初のバックパック旅であることに加え、飛行機内で前席から予想外のリクライニング攻撃に遭遇したためであろう、すっかり眠り込んでいる。もちろん存分に眠っていただいて問題はない。我ながら梅ヶ丘屈指のアジア通として名を馳せる筆者のことである。万に一つも乗り過ごすなどということはあり得ない。

 ところが、それは筆者の慢心以外の何モノでもなかった。あるバス停で、何人かの旅行者らしき人々が降りていったとき、相方が、ここじゃないのか、との問いを投げかけてきたのだが、なぜかその時筆者は、ここではない、と直感したのである。しかしそれは全くもって余計な直感であった。案の定、カオサンへ曲がる見馴れた路地が一瞬視界に入り、そして後方へ過ぎ去っていくではないか。
 しかし、梅ヶ丘屈指のアジア通である筆者が、これしきのことで動揺を見せるわけにはいかない。乗り過ごしてしまった事実などおくびにも出さず、「もうそろそろかなあ」などと嘯きながら時の流れに身を任せることにする。
 ただし、その自信には全く根拠が無かったわけでもない。何しろこのバスは「カオサンの方行き」という名目なのである。きっとカオサンの付近が終着点になっているに違いないのである。仮にカオサンから離れてしまった場合は、「結構バス停遠いんだよね」などとごまかしながら歩けばよい。
 果たして筆者は、賭けに勝利した。なんとバスは周辺をグルリと周り、カオサンの付近に戻ってきたのである。(というか後で分かったのだが、こちらが本当のカオサンのバス停だったらしい)

 この一連の事件は、この日報を書いている現時点では、相方には明かしていない。

 以前泊まったことのある「サワディー・バンコク・イン」にチェックイン。A/C、ホットシャワー、冷蔵庫、朝食付きで二人で900B。バックパッカーデビューの相方に配慮し、比較的セレブ向けの安宿をセレクトしたわけである。チェックイン後、カオサン通りのバーで、愛しのシンハ・ビアーおよびセンミー・ナームとの1年越しの再会を果たす。会いたかったよダーリン。そしていきなり汗だく。日本人代表として、今後現地の人々に「日本人は汗かきだ」との概念を定着させてしまうリスクを憂いつつ、バンコク到着早々ド満足状態へとトランスする。


カオサンのカフェで「COFFEE」と書かれた紙コップでシンハービアーを提供される。
カオサン界隈では午前0時以降店舗でのアルコール販売が禁止されているためだろう。


 宿へ戻り、いきなりの汗だくを解消すべくシャワーを浴びる。相方はと言えば、安宿の中では比較的セレブ向けとはいえさすがにこのスタイルの宿は初めてであるため、各設備のヘタリ具合に戸惑いを隠せない様子だったが、それは最初だけで、慣れるのも早いものである。さすが、「A型の皮をかぶったズボラリスト」と(筆者から)評されるだけのことはある。

 部屋で二本目のビアーを開けて、明日からの旅程に想いを馳せる。夏は今始まったばかりである。