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■中国西域日報2006 カシュガル編 その2 -06/09/14-

 さて、筆者も腹をこわした。重症である。

 しかし、向ヶ丘遊園でも5本の指に入るハードボイルドトラベラーたる筆者が腹を下したくらいで部屋で寝込んでいては名がすたる。ひたすら前進あるのみである。

 というわけで今日は、西域最大のモスクである「エイティガール寺院」と、ウイグル族の人々が今も変わらぬ生活を営むウイグル族の旧市街を訪れる。

 と、部屋で準備をしていると、どこからともなくコーランを読みあげる声が・・・。おお、ここはすでにイスラム圏なのだなあ。いやがおうにもテンションが上がってくる(腹の方は下る一方であるが)。

 町へ一歩出てみて驚いた。昨夜到着したときは暗くて分からなかったのだが、町を歩く人々の顔立ち、服装がもやはこれまで見てきた中国ではない。
 青くて彫りの深い目、褐色の髪、ウイグル帽をかぶるオッサン、頭と顔を布で隠して歩く婦人。そして建物の看板にはアラビア文字から派生したウイグル文字が溢れる。さらにその背景には厳かに流れるコーラン。
 カシュガルは中国とはいえ、人口の7割がトルコ系イスラム教徒のウイグル人だから、情報としては分かっていたことだが、ここまで中央アジア風情が勝っているとは。看板や標識のウイグル文字の傍に添えられた漢字表記がまるで取って付けられたように見える。
 シルクロードの交差点であるカシュガルを、遥か昔より確かに様々な民族が行き交っていたという史実を見せつけられた感がある。



看板のウイグル文字、顔を隠す女性の衣装・・・ああ、ここはもうイスラム圏なのだ

エイティガール寺院の木陰でくつろぐウイグルの男女

道端で瓜を売り買いするウイグルの男達。瓜は西域の名物


 エイティガール寺院では、中国建築のきらびやかさとはまた風情の異なる、青や緑や赤などの様々な色彩をタイル状に並べることで見せる装飾に魅了される。(そしてさらに驚いたのは、女性用のトイレがなかったことである。理由は分からない)


エイティガール寺院
 
このターバンの主達はいずこへ・・・?

タイル張りのモスクの天井

 良かったのはやはりウイグル族が昔ながらの町並みに住む旧市街。町の入り口で入場料を取られ、ガイドを付けられたのは残念だったが、学生だというガイドはとても人が良かったし、ウイグルの人々の慣習などがよく分かったのでこれは良しとしよう。
 それより、土で作られた住居、グネグネと入り組む路地、鮮やかな民族衣装のような服を来た(観光客向けではなく)無邪気な子供達、ロバ車で瓜を売るオッサン、何をするとも無く窓に座って通りを眺めるオッサン、全てが昔の外国の映画か何かのようで、かつそれが作られたものではないということに、浪漫を感じる。

 そして、ウイグル人はガイドのお兄ちゃんに限らず、とても愛想が良い。それも、ここが中国であることを忘れさせる原因の一つかもしれない。子供達はとても人なつっこいし、大人も笑顔が素敵である。そういえば、ウイグル人のタクシードライバーが、笑顔で自分の車を叩きながら、

 「ジャパン カー、 ベリー ストロング!」

 と言ってくれたこともあった。漢民族は絶対そんな愛想見せないもんなあ。ただしその車は旧式のフォルクスワーゲン・サンタナだったのだが・・・。


 そんなこんなで、カシュガルに来たのは大正解だったと思ったのであった。


 
ウイグル旧市街の少女
 

  


ウイグル商人のマストアイテム、ロバ



 昼飯。助手兼妻は相変わらずパンと水で済ますというが、同じ腹下しでも、筆者は意気込みが違う。腹が下っていようが上っていようが、男は黙って「牛肉面(麺)」。これである。幸い、チニワク賓館を出て左のところにすぐ「牛肉面」の看板を見つけた。イスラム料理は夜に取っておいて、まずは胃に優しい牛肉面をいただく。これもなかなかの美味。助手兼妻にも一度は食してもらいたいと思った一品である。


カシュガルで出会った絶品牛肉面
 
「小吃」とは、食堂というような意味。                      注文するとリアルタイムに麺を打つ。こりゃ美味いわけだ

 19時半頃まで宿で休み、デリケートな胃腸をいたわり、その後晩飯にでかける。向かったのは、フロントのウイグル人のお兄さんに「イチオシだ」と教えてもらった、「TURAN」というイスラム料理屋。

 地味な外観から想像もつかないような豪華な内装に一瞬腰が引けたが、メニューを見るととてもリーズナブル。店員はまたしても英語が通じずに苦労する一面も多々あったが、料理は非常に美味であった。
 そして、ここで生まれて初めて「シシカバブ」を賞味。これは美味い。無駄に長い鉄の串にしゃぶりつく格好もまたワイルドで良い。その他、肉と野菜が詰まった「焼包子」などのウイグル料理などをいただく。
 ただし、イスラム料理なのでアルコールは置いていないのが残念で仕方がなかった。逆に言えば、いずれもビールが非常に恋しくなる、パンチの効いたとても美味なる品々であった。総じて、本格的なイスラム料理をリーズナブルに楽しむには実にオススメの店である。

 

本格イスラム料理店「TURAN」                                      内装はゴージャス。でも値段はリーズナブル

憧れのシシカバブ

パンのような生地に肉まんの中身を詰めたような

 若干調子に乗って食べ過ぎ、相方は久々の本格的な食事ということもあり、宿でダウン。筆者も満腹超過である。今宵これから、〆の新疆ビアーが飲めるかどうか、胃袋との交渉が難航しそうである。