■ラオス日報2005 ラオス最終日編 -050722-


アカスリと靴下

 朝から空模様は怪しいが、何とか外出には耐えられそうである。宿のレストランで目玉焼きにナンプラーをぶっかけてたいらげる。

 今日の一番の目的地はブッダ・パーク。筆者は3年前に訪れたのだが、ここは相方にぜひ見せておきたいマニアックなポイントである。市場の近くでトゥクトゥクを拾おうとするが、英語を話せない運転手を捕まえてしまい、面倒くさくなったためローカルバスで行くことに。

 バスには本当に様々な地元の人々が乗り込んでくる。一番多いのはおばあちゃん系で、いくつものビニール袋に怪しげな草とか卵とかを詰め込んで乗ってきては、すでに座っている人の足元に押し込んで行く。もはや足の置き場も無いどころか、手動式の扉から人が飛び出んばかりである。この国では、他人とかそいういうよそよそしい感覚はないらしい。

 バスは、通りに立っている人が手を挙げれば乗せるために止まるし、乗客が何か喚き声を上げれば降ろすために止まる、そういう極めてシンプルなシステムであり、筆者もすっかり馴れている方式である。

 

                                    バスの中でピンク色の卵発見

 そのようにして、揺られること約1時間。この、「揺られる」という単語を甘く見てはいけない。このバスには通常の車両に最低限備えられているべきサスペンションというものが全く存在しないかのように、に凹凸が乗客達の臀部にダイレクトに伝わってくるのである。しかも雨季のラオスの道路状態の悪いことは、世界の七不思議の一つであると言われても異論は無いほどのレベルである。

 話を戻して、そのようにして、揺られること約1時間、我々はブッダパークに到着した。相変わらず、マニアにはたまらない物品が、広大な草原の中に所狭しと陳列されている。

 
このように無数の仏像が居並ぶブッダ・パーク      バンドのプロモビデオ撮影らしきものが行われていた

 このブッダパーク、正式名称は「ワット・シェンクアン」といい、形式上は寺らしいのだが、ここに置かれている物品は、仏教のものはもちろんあるのだが、ヒンドゥー教のもの、宗教とはあまり関係なさそうなもの、などなど、はっきり言って混沌の極みである。これがマニアにはたまらなくいいのである。「なぜこんなものがこんなところに」という発見ほどマニア泣かせのシチュエーションはない。筆者と同じくマニアックな物品に目がない相方などは、それはもうはしゃぎっ放しである。小雨が降っていなければ走り回っていたに違いない。

 
人の上にブタが乗った像            ギターのような弦楽器を弾く人
 


ラオスのオロナミンC、「M-150」

 ブッダパークを後にしビエンチャンに戻る。例の美人なお姉さんがいる「ナンプ・コーヒー」でセンミーナームを召す。召しているうちに、轟くようにスコールが落ちてくる。この町の出来事は全てが突然であり、必然である。町の人々は当り前のように軒を伸ばして雨除けを行い、筆者達旅行者は仕方なく食堂に居座って空の表情をうかがう。


ビエンチャンのバスターミナル

 しばらくして、雨がやんだ。我々は意気揚揚と宿へ向かって歩き出したのだが、悲劇はその直後に訪れた。スコールの直後で、道の脇には至るところに巨大な水たまりが形成されていたのだが、それを除けようとした刹那に、左足を深い側溝の中に沈めてしまい、慌てて足を抜いたがゆえにビーサンを失ってしまったのである。側溝に手を突っ込んで探してみたが、相当深い溝のようで、しかも草が生い茂っているため全く見つかる気配が無い。相方に、付近にサンダル屋がないか探してもらったが、見当たらないので、ひとまず裸足で宿へ戻る以外に術が無い。
 宿でサンダルを貸してもらうことができたので、それを履いてレンタバイクで市場まで飛ばしてサンダルを買いに行き、なんとか事態を収拾することができたが、思わぬところで雨季のラオスの恐ろしさを身に染みて思い知らされたものである。

 そんなこんなで時刻は15時半を回っている。そうなると、ビエンチャンで外せないポイントは、夜の屋台を除いてあと一つだけ。薬草サウナである。

 薬草サウナ(正式名は「ワット・ソックパルアン」)はビエンチャンの中心から2kmくらいのところにある。幸い雨は降っていないので、レンタバイクで薬草サウナへ向かうことに。

 郊外のジャングルの中をバイクでウロウロ潜っていくと、相変わらずワイルドな木造高床式の建物には英語と日本語の上手な姉ちゃん(オバサン?)が居て、旅行者と地元の人々で賑わっている。
 相方も、サウナを訪れる前までは、あまりのワイルドなイメージ(筆者の過剰にワイルドな説明による)に不安が隠せないようであったが、いざサロンを巻いてサウナに入り、薬草茶を飲んではサウナに入り、を繰り返すうちに、すっかりはまってしまった模様である。

 サウナに居る間に、すさまじいスコールがジャングル全体を震わせたが、サウナに入っては茶を飲み、サウナに入っては、を繰り返すうちに、今度は鮮やかな夕日が木々の間から見えてきた。おぉ、メコンの屋台が我々を呼んでいる、そう直感した我々はホースの水で汗を流して再びレンタバイクにまたがるのであった。


ビエンチャンで一番のオススメスポット、「薬草サウナ」

 この旅最後のメコンは、淡いピンクの光をたたえた薄い雲と共に我々を迎えてくれた。朝から決して完全に止むことの無かった雨は、嘘だったかのように気配を静めている。昨日は雨のために閑散としていた河畔に、ズラリと屋台が並ぶ。これはもう、我々にビアラーオをたらふく飲めと言っているようにしか見えないではないか。

 初めはそのように盛り上がっていた我々であるが、夕闇が深くなり、テーブルにキャンドルが置かれ始める頃には、寂しさが勝ってくる。帰路へ向けて刻々と夜が迫ってくる。

 メコンに対して惜しみない視線を凝らしながら、またしばらく会えなくなるであろうビアラーオを堪能することに神経を注ぐことにする。

 
日が暮れたメコン河畔では、ミネラルウォーターのポリ容器で作られるキャンドルが静かに揺れる