■中国西域日報2006 北京入り編 -06/09/09-

 中国南方航空という聞き慣れない航空会社名に出発前は戦慄を覚えていたが、何のことはない、JALとのコードシェア便であった。JALならJALで改めて恐怖を覚えないではなかったが、飛行機は無事に正午過ぎの北京国際空港に降り立った。

 初日の今日は北京に宿をとり、明日以降、中国西域に踏み入る旅程である。助手兼妻のKも筆者も、西域は初めてであるが、北京は身に覚えがあるため、さほど緊張感はない。緊張感がないどころか、助手兼妻などは、機内の8割ほどの時間(3時間ほど)を寝倒したにも関わらず、中国大陸の大首都の喧騒の中で「眠い、眠い」を繰り返すという大物ぶりである。

 ところで、空港から市内まではエアポートバス(16元、1元=約15円)というのを利用したのであるが、これがなかなか中国の特徴を端的に表していて秀逸な乗り物なのである。
 まず、座席の間隔が異常に狭い。乗客は皆、約50分の行程を、バスの中とは思えないほど背筋を伸ばした好姿勢で臨むことになる。これは約13億といわれる中国人民の膨大な人口を象徴するものであろう。
 次に衝撃を受けたのは、社内アナウンスに施された驚くほどのエコーである。社内アナウンスといっても、美声の小姉(シャオジエ)がガイドをしているわけでもない、運転手のオッサンが時折停留所の名称を簡潔に述べるだけである。しかもそのエコー量が尋常ではない。停留所名そのものの長さよりも、エコーで共鳴している時間の方が長いといっても過言ではない。
 これは、中国の人々の派手好きを反映しているに違いない。かつて筆者が、中国の携帯電話市場について取材をしに訪れた際に聞いた話では、中国の消費者は機能が高度であることよりも、見た目が豪華絢爛であることを重視する傾向があるという。たしかに、上海の店頭で売れ筋の機種を尋ねてみたところ、モトローラやノキア製のPDA型の最新機種を抑えて首位に挙げられたのは、全身をにきらびやかな宝飾をまとった中国製の機種であったことを記憶している。

 そのようにして、到着早々中華のいぶきを満喫した我々は王府井の宿でチェックインを済ませると、后海エリアの胡同(フートン)見物に出かける。后海エリアは町並みの保存地区になっていて、胡同と呼ばれる北京の昔ながらの風情ある町並みが残っている。胡同ならではの風情は四合院とよばれる木造の建物に見られ、屋根や門などの造詣に情趣が感じられる。
 そもそも胡同とは、「路地」というような一般的な意味で、実は北京の町じゅうに胡同はあるのだが(北京最大の繁華街である王府井の宿も「甘雨胡同」という名前の路地にある)、多くの胡同は開発が進んでしまい、古き良き北京の面影は見られないのである。

 

北京市内にわずかに残された、昔の面影のこる胡同。          その胡同にも徐々に忍び寄る開発の影

 

 




 胡同の渋み溢れる町並みに夕暮れが訪れる頃、后海(湖である)沿いのバー街に明りが灯り、賑やかになってくる。我々の食欲も盛り上がってきたところで、后海から程近い「四川飯店」という若干メジャーな店で腹を満たすことにする。



后海に晩飯時が訪れる


 この「四川飯店」、あの「るるぶ」に載っているだけあってその味は半端ではない。

 嗚呼、本当の麻婆豆腐とはこのような味なのか。

 嗚呼、本当の餃子とはこのような味なのか。

 嗚呼、本当に美味い物を食うとビアーはこのようにスムーズに五臓に流るるものなのか。





 ところで、「四川飯店」には日本語を話せるオッサンがいて、いろいろ親切にしてくれた。ありがとう、オッサン。

 宿で北京ビアーを2本購入し、明日の4時起きに備えて早々に床に就く。待っておれよ、遥かなるシルクロード。