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■中国西域日報2006 敦煌編 その3 -06/09/12-

 今朝は普通の客人用のテーブルで朝食をとることに成功。

 今日は昨日のオッサンのシボレーで莫高窟を訪れる。莫高窟とは、敦煌市を囲む砂漠の東端の断崖に400を超える石窟があり、漢から元までの各代の仏教美術家の手による仏像や絵画が保存されているという「自然×人智」が結晶したような遺跡である。ちなみに、世界遺産に登録されているらしい、ということを現地で知った。どうも筆者は世界遺産への造詣が浅いらしい。

 敦煌市内から30分程すると、遠くに見えていた砂漠の稜線の端が断崖絶壁となり、無数の四角い穴が穿たれているのが見えてくる。それらが全て、南北1.8キロ、上下5層に渡る仏教美術の詰まった石窟だというのだ。「砂漠の画廊」の異名を持つわけがよく分かる。


莫高窟の中ほどにある代表的建造物、九層楼

砂漠の端の絶壁に無数に並ぶ石窟

 と、その壮観に驚かされたのもつかの間、今度はいつもの中国方式に驚かされる。チケット購入後、日本語のガイドはいるか、と尋ねると、

 「入口の方に日本人の団体がいるだろうからそこに適当に混じりなさい」

 との教えを受ける。なるほど、全てにおいて自己解決がこの国のやり方である。
 我々は仕方なく入り口まで行くと、幸運にも日本人の老夫婦がいて、「一緒に見て回ってはどうですか」と言ってくれた。日本人は優しいなあ。

 しかしその後も事件は絶えることが無かった。実は、その老夫婦と(他に4人くらい合流して)共に後についていったガイドらしき中国人女性が、次のような驚くべき発言をしたのである。

 「ガイドを探してくるからここでしばらく待ってて」

 あんたは一体誰なのだ!と絶叫したくなる気持ちを抑えて待っていると、やがて別の中国人女性がやってくる。

 「行きましょう」

 と日本語で言うので、やっと本物のガイドが来た、と安堵してついて行く。しかし石窟という石窟を次々に素通りして進んでいく。おかしいと思い尋ねてみると、なんとまたしても次のような驚愕の発言を行ったのである。

 「ガイドがもう先に行ってしまったので、探しているんです」

 あんたは一体誰なのだ!と絶叫したくなる気持ちを抑えてついていくと、ようやく石窟の中で日本語の説明を行っているオッサンを発見することができた。

 そのような感じで、400以上ある石窟のうち、代表的な10くらいを見て、莫高窟を後にする。

 莫高窟から宿に戻り、シボレーのオッサンに別れを告げる。オッサン、爆走しすぎて死ぬなよ。

 昼飯は宿のすぐ近くの、「豆片面(麺)」と書かれた食堂に入る。「豆片面」とは一体なんであろうか。楽しみにして待っていると、なんとスープが小豆色なのである。つまり、スープの出汁を小豆からとっているのである。当然ながら、若干甘味のある、これまで食べたことの無い味である。
 これだけではイマイチ物足りないなあ、と思っていると、食堂のおばちゃんが、並べられた鍋の中のおかずを皿に盛って出してくれた。ジャガイモのきんぴらや、ナスの唐辛子炒め煮など4種類のおかずである。おばちゃんの説明は全く分からなかったが、これらの辛いおかずと一緒に豆片面を食べると、格段に美味くなった。庶民の中華料理とは、このように、複数のものを上手くコーディネートして食べるのが正しいのかもしれない。などといい加減な悟りを開いてみる。

 しかしこの「豆片面」が悲劇を招く。なんと助手兼妻が、その午後から激しい食当たりに見舞われ、とても出歩けない状態に。やむを得ず筆者単独でチャリンコを借り、ブラブラすることに。



小豆色の「豆片面」。この甘味のある食べ物が後でとんでもない悲劇を引き起こすことに・・・

おばちゃんがトッピングとして盛ってくれた副菜


 


 シルクロードといえば、ポプラ並木である。格好の良いポプラのある風景をハンティングしに路地や農道に攻め入る。やはりこれが旅の醍醐味である。
 そして路地といえば、子供である。遊んでいる子供がこちらに興味を示したところを、パシャリ。どんな外国でも小さな子供でも、カメラを見せれば、言葉が分からなくてもこちらが彼または彼女に興味を持ったということが簡単に通じる。こんな便利なコミュニケーションツールは無い。
 ただ中国の場合、東南アジアなどの人々と違って、ハローとかニイハオなどと声を掛けながらカメラを向けても笑顔で応じてくれる率が低いので、若干尻ごみしてしまう。


郊外のポプラ並木に囲まれた畑地帯。後方の砂漠が、ここが砂漠の真ん中のオアシスであることを想起させる


 


 満足して宿に戻ってくると、相方の食当たりに回復の兆しが見られないので、晩飯も単独。晩飯前に宿のフロントで、以下の2点を要望。

1.妻が腹痛なので明日のチェックアウトを14時まで延ばしてほしい(本当は12時)。
2.トイレットペーパーをくれ。

 2に関しては、「厠紙」と書くだけで速攻持ってきてくれたが、1に関しては少々難航。規定では1泊の半額分(120元=1800円)を貰い受ける、というのである。たった2時間に120元は割に合わないということで駄々をこねていると、初日から片言の日本語と筆談で相談に乗ってくれていた、ベテランらしい小姉(シャオジェ)が登場。さらに半額の60元にしてくれた。謝々、小姉。

 今宵の晩餐は、「牛肉面(麺)」。これまた宿の近くにあって、兼ねてから目をつけていた。しかし助手兼妻は相変わらずノックダウン状態のため、やはり筆者単独で出かけることに。助手兼妻の食糧は近くの超市(スーパーマーケット)で調達することにする。

 ところでこの「牛肉面(麺)」が、かつてない大当たりであった。一昨日の「麻辣面」も美味かったが、あれに勝るとも劣らない。スープは「麻辣面」ほど辛さが突出しておらず、透明な醤油系で、香菜の香りが香ばしくて飲んでもコクと深みがある。麺も、コシがあってツルツルしていて理想的だ。そして特徴的なのが、後乗せの牛肉。これが非常に柔らかく、かつスープの絡みやすい部位が使ってあり、具としては香菜と牛肉だけなのだが、全く物足りなさを感じさせない。

 庶民派中華料理の議論に関しては、昨日の言を撤回したいと思う。まだまだ筆者の研究が足りないようだ。

 さて、助手兼妻に「牛肉面」を食べさせてやれなかったのが残念で仕方が無いが、帰りに超市に寄って、助手兼妻のためのパンと水、そして筆者のための黄河ビアーを購入して宿へ帰る。

 明日はいよいよ中国最西端の町、カシュガルへ飛ぶ。やがて筆者の胃腸にも忍び寄る暗雲になど気づく術も無く・・・。



衝撃の絶品「牛肉面」
 

 
親切にしてくれた酒屋のおばちゃん。カメラを向けるととてもはにかんでいた。 右はひっそりとした酒屋の外観。