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■ポルトガル2007 シントラ/ロカ岬 -Jul/15/2007- |
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雨のロカ岬
朝から天気がよろしくない。
エントレカンポスの駅から国鉄でシントラに向かい、そこからロカ岬までローカルバスにゆられる。が、途中から霧雨が窓を打つようになった。ロカ岬に到着した頃には完全な雨。いかに憂愁のポルトガルの、大陸の尽き果てる場所とはいえ、この雨は悲しすぎる。何しろ7月といえばポルトガルでは殆ど降水量の無い時期なのだ。
なるほど確かに「ここに地果て、海はじまる」(byカモンイス:ポルトガルのとある詩人)などと言われればそぼ降る雨も似合う風情かもしれない。日本海を経て中国、ロシア大陸から始まるユーラシアの大地が、ここで尽きるのである。これはある種の憂愁の感傷とともに迎えずには居られない。しかしその雨と霧のために大事な大西洋の海原さえも見えないとなると、これは非常に残念である。憂愁どころの騒ぎではない。
室内で待つも、雨の上がる気配は無い
まるで天国への道のりのような幻想的な美しさ・・・でもやっぱり晴れて欲しい・・・
鈍色(にびいろ)の海原。そしてなぜか欧米人は絵になる
そのあまりの切なさを、無理やりカメラを水滴に襲われながら写しとりつつ、シントラへの帰りのバスを待つこと3時間ほど。待つうちに、日本人シェフのNさんに出会う。Nさんはパリで和食の料理人をしながら、休みをとってポルトガルへ小旅行へ出掛けてきたといういう。若いうちに世界で経験を積みつつ、やがて彼女の待つ日本で腰を落ち着けて店を開くのが夢らしい。小雨のロカ岬でいい話を聞かせてもらった。
これからセジンブラに向かうというNさんと別れたあと、最終日に何とか旅程を工夫してもう一度ロカ岬を訪れることを心に決めつつシントラ観光。かつて「エデンの園」とたたえられた、森林と城と宮殿の町を満喫。幸い、午後から天候は回復してきたのである。
陽が差しはじめたシントラの町
ちょっとした路地の壁にも美しいアズレージョが見られる
ポルトガルにも紫陽花が
シントラは小ぢんまりとしたかわいらしい町で、助手兼妻のKも今回訪れたポルトガルの町の中で最も好きな町だと後に評していたが、特に良かったのは、「ムーアの城跡」。1400年ほど前に「ムーア人」と呼ばれるオッサンたちによって築かれた城だそうだが、今は当然廃墟と化している。しかし山肌を縫う堅固な城壁はさながら万里の長城を髣髴させ、その上からの展望のなんとまあ美しいこと。また、森林のなかに今も大木の根に侵食されながらも残る城跡の偉容は、かつての栄華から1400年を経て緑の木々と共生するに至った時の流れを思うと圧倒される。筆者は、「天空の城ラピュタ」を想起したものである。
森と共生する古城
森を抜けて城壁へ登ると一気に広がる風景
空に向かって駆け上がる城壁はまさに「天空の城」 一方、ポルトガル版「万里の長城」の異名も持つ
ペーナ宮殿も見える。時間がなくてこちらには行けなかった
シントラの町の方からムーア城を見上げる。改めて、「天空の城」だなあ
リスボンに帰り、Nさんの紹介もあった”Clube de Fad”へ。ポートワイン、グリーンワイン(vinho verde)などの様々なポルトガルワインを楽しみつつ、哀愁の漂うファドのライブに身を委ねる。ついついファドに聞き入りながら杯を重ねがちなのでご注意を。
明日は漁師の町ナザレへ向かう。
哀愁漂う民族音楽「ファド」
丸い胴体のポルトガルギター
撮影機材:オリンパス E-410
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